買い物難民 対策 自治体事例
京都府南山城村実証実験
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自治体事例 京都府南山城村実証実験報告書抜粋


京都府南山城村地域において、エルブズが行った買い物難民対策の実証実験の報告書について抜粋して紹介します。

 

南山城村概況


南山城村は京都府の東南端に位置し、滋賀・三重・奈良に隣接する京都府唯一の村である。関東地方に次ぐ日本第二の都市圏・経済圏、近畿地方の中央部に位置し、京都、奈良へのアクセスが可能である。特に奈良方面のアクセスについては、日常的な買い物や通院など頻繁に行われている。

村の総面積64.11k㎡であり、その73%を森林が占める、いわゆる中山間地域であり、7%の農地で茶を中心とした農業が行なわれている。村で生産される茶は京都府茶品評会では17年連続で産地賞を受賞する良質の産地で、宇治茶として広く流通している。また、しいたけの栽培も盛んであり、原木しいたけの生産量は京都府内1位である。

しかし、近年は村の主産業の低迷などにより若者が近郊の市町村(木津川市、精華町など)に流出し、南山城村の高齢化率は40%を超えている。村内の商業施設や交通手段が不足していることから住民は生活の多くを自家用車に頼っており、車の運転が困難になった高齢者は単身で日常的な買い物や催し事に出かけることが困難であり、日常生活に支障をきたしつつある。

このような課題に対して、南山城村では「村で暮らし続けるための仕掛けづくり」を実現するため、村の主産業である茶業を中心とした商品開発などによる「産業再生」、都市部と地元住民の交流を活性化し定住・移住の促進を図る「次世代の担い手育成」、交流拠点の整備や宅配サービスの実施による地域住民の「絆づくり」といった取り組みを積極的に展開している。

 

 

道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」概要


南山城村では、平成29年4月15日に道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」(以下、道の駅)をオープンさせる予定である。道の駅は、まさに前述した「村で暮らし続けるための仕掛けづくり」の拠点となり得る施設であり、雇用機会の創出、都市部からの来訪促進、地域交流の活性が期待できる。

下記は、道の駅の完成予想図である。

図 1 道の駅完成予想図 外観

図 1 道の駅完成予想図 外観

全体として南山城村の自然と調和したデザインとなり、またこれまでの南山城村近隣で最大の商業施設になる。施設には、十分な駐車スペースを確保し、近隣、遠方両方からの需要に応えられるよう設計されている。

この道の駅の特徴として、食堂や特産品販売の市場に加え、地域住民向けに生鮮食品や日用雑貨を販売する小売店「村民百貨店」が設置される予定であり、村内への日用品宅配サービスなども計画されている。



図 2 道の駅完成予想図_広場



図 3 道の駅完成予想図_駐車場

 

 

「ごようききねっと」調査概要


下図は、平成27年度に実施した「商店街ICT受発注宅配システム調査」にて提案した、コミュニティ形成要素、娯楽体験要素を持つ受発注宅配システムの説明図である。



図 4 商店街ICT受発注宅配システム

利用者は、簡単な手続きで利用可能になるアプリケーションで、気軽に商品の配送を依頼することが可能である。配送に際しては、道の駅スタッフから、確認の電話が入り、当初の導入コストはかかるものの、利用者の利便性を損なうことなく、最終的には、電話で受け付ける場合よりも、1/3程度の時間的コストダウンを見込んでいる。

本調査は、上記の受発注宅配システムを「ごようききねっと」という名称で発展させ、道の駅の実業務と連動した実証実験を行うことで、アプリケーションの機能選定、配達業務の実現可能性について検証するものである。

アプリケーションには、株式会社エルブズが開発中である「御用聞きAI®」(旧称「エルブズケアエージェントサービス(ECAS)」)を利用する。

御用聞きAI®は、エルブズ独自開発の Agents of Socialization 社会性エージェント技術を用いた人工知能を搭載し、エージェントとのコミュニケーションを楽しみながら、商品の受発注、地域情報の配信、継続利用による見守りサービスなどを提供するものである。

御用聞きAI®は、高齢者を対象としたヒアリングから、高齢者が従来SNSに対して感じていた

 

 


  • 初期設定の難しさ

  • インターネットに対する恐怖心


を解消することを目的として開発が進んでおり、スマートフォンなどの操作に慣れていない高齢者であっても抵抗なく使い始めることができると考えている。

実証実験


本調査は、業務の実現可能性が不明瞭な段階からの調査であり、実証実験を繰り返しながら慎重に進めていく必要がある。本調査では、3回の実証実験を実施し、都度結果を分析しながら、段階的に調査を行なっていく。

第一回実証実験(情報伝達実験)

概要


第一回実証実験は、受発注・配達の前段階として


  • アプリケーションを介した情報伝達の実現可能性

  • アプリケーションの利用のしやすさ


について明らかにすることに主眼を置き、「情報伝達実験」とした。

実証実験の期間と参加者は以下のとおりである。

 

 


  • 期間: 平成28年8月30日(火)〜31日(水)

  • 参加者: 4名


参加者には、アプリケーションがインストールされたタブレット端末を貸し出し、期間中自由に利用してもらう。実験終了後、インタビューを実施する。

本実験では、御用聞きAI®のα版を利用する。α版は、テキスト・音声認識・選択肢による入力で、複数のエージェントと会話することができる。また、参加者同士を登録したグループに切り替えることにより、参加者同士でコミュニケーションをとることも可能である。

下図は、御用聞きAI®α版の画面イメージである。



図 5 御用聞きAI®α版会話イメージ



図 6 御用聞きAI®α版グループ切り替え

 

 

結果


4名の高齢者にアプリケーションがインストールされたタブレット端末を配布し、実験を実施した。本実験で明らかになった事実は以下の通りである。

 

 


  • 高齢者であっても、タブレット端末・アプリケーションを利用できた

  • 遠隔地にいる参加者同士でコミュニケーションをとることができた

  • 旅行先にタブレット端末を携帯した参加者もいた

  • 音声認識は、訛りの影響などからうまく機能しなかった


上記の通り、アプリケーションを介して、参加者とエージェント、参加者同士での情報伝達が実現できた。一方で、音声認識の精度が不十分であったことなど、アプリケーションの機能に関する要望が多く挙げられた。

 

続きは、以下の資料ダウンロードでご覧いただけます